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Gc typeについて

Gc typeについて

プレMAFの前駆体であるGc globulin(別名:vitamin D binding protein:ビタミンD結合タンパク質)は、ハプトグロビン(Hp)や α1アンチトリプシン(AAT)のように、多型を示す血清タンパク質の一つである。
1950年代、等電点電気泳動法(IEF)による電気泳動移動度の差から「Gc1f」、「Gc1s」、「Gc2」の3対立遺伝子に分類ref.1され(図1)、これを「Gc type」と言う。

当初、「Gc1」と「Gc2」のみの分類であったが、「Gc1」において、電気泳動移動度の速さが異なる「Gc1f(速い)」と「Gc1s(遅い)」との混合物であることが後に判明した。

図1:Gc globulin の等電点
図1:Gc globulin の等電点

このGc typeは、3対立遺伝子により、表現型は同じ対立遺伝子を有する“ホモタイプ”と、異なる対立遺伝子を有する“ヘテロタイプ”に分けられる。
同じ対立遺伝子を保有:「ホモタイプ」→ 1f-1f、1s-1s、2-2
異なる対立遺伝子を保有:「ヘテロタイプ」 → 1f-1s、1f-2、1s-2
このGc typeは、血液型同様、父 ・ 母からそれぞれ受け継ぐ(図2)。

図2:Gc対立遺伝子の受け継ぐ例
図2:Gc対立遺伝子の受け継ぐ例

例えば、父方側が「1f-1f」、母方側が「1f-1s」の場合、父方から1つ、母方から1つ引き継ぎ、その子どもは「1f-1fもしくは1f-1s」のどちらかとなる。

その為、今でこそ親子鑑定や個人識別等においてはDNA鑑定を用いて識別・判断されているが、DNA鑑定が実用化される1980年代後半~1990年代初期までは、このGc globulinの分類にて法医学上の親子鑑定や個人識別、集団遺伝学上の調査方式等として広く利用されていたref.2
現在は、一部研究者の研究評価項目の1つとなり、また、前述の等電点電気泳動法による移動度で評価ではなく、DNAによる遺伝子解析が主流となっている。
遺伝子解析の手法として、ターゲットを絞った解析にて評価・判断を行う「PCR-RFLP法(図3)ref.3」、網羅的解析を行いSNPsでの評価を行う「DNAマイクロアレイ」や「次世代シークエンサー」(表1)ref.4, 5がある。

図3:PCR-RFLP法での結果・判断基準
図3:PCR-RFLP法での結果・判断基準

PCRにて遺伝子増幅、制限酵素を用いて、遺伝子を切断し、その泳動パターンにて判断する。

表1:Gc typeにおける遺伝子多型
表1:Gc typeにおける遺伝子多型
表記方法の読み取り方例

「1296 T>G」→ 遺伝子1296番目の塩基TがGに置換
「Asp432Glu」→ 遺伝子432番目のコドンAspがGluに置換

アミノ酸 略名

Asp:アスパラギン酸
Glu:グルタミン酸
Thr:スレオニン
Lys:リシン

このGc type(遺伝子多型)において様々なことが報告されている。

1.遺伝子多型と出現頻度

遺伝子多型の出現頻度において、人種によって異なるとの報告がされている(表2、図4)ref.6, 7

ホモタイプ遺伝子多型-黒人 ホモタイプ遺伝子多型-白人
図4:ホモタイプ遺伝子多型と黒人/白人出現頻度

また、日本では過去にGc2の遺伝子頻度が「北低南高型」の地理的勾配を示すという報告もあったref.8(今は気軽に全国どこでも行けるようになっているので、地理的勾配があるかは不明)。

2.遺伝子多型と血清中濃度

遺伝子多型、Gc typeによって血清中に含まれるGc globulinの平均濃度に差がある事が報告されている(図5、表3、図6)ref.9,ref.18

Gc phenotype Groups og Gc phenotypes
図5:Gc typeと平均血清中Gc globulin量ref.9
A:ホモタイプ、ヘテロタイプでの6タイプによる平均血清中濃度
B:Gc1とGc2での3タイプによる平均血清中濃度
表3:平均血清中濃度ref.9
表3:平均血清中濃度ref.9

584名の女性で調査した結果。
Gc1f-1fとGc1s-1sでは濃度差はなかったが、Gc2-2では前述の2タイプに比べ、有意に濃度が低かった。
Gc1とGc2で考えたとき、平均血清中濃度は「Gc1ホモ型>Gc1-2ヘテロ型>Gc2ホモ型」となる。

図6:Gc typeと平均血清25(OH)D濃度ref.18
図6:Gc typeと平均血清25(OH)D濃度ref.18

ドイツ ハンブルグ及びライン-ネンカー-カールスルーエ地域居住 1,365名の女性で調査した結果。
Gc2-2において、血清中25(OH)D濃度は有意に低かった。
またGc1s及びGc1fの対立遺伝子を組み合わせた幾何平均25(OH)D濃度を求めると、Gc1-1:53.0 nmol/L>Gc2-1:47.8 nmol/L>Gc2-2:40.4 nmol/Lと、Gc2対立遺伝子数の増加により有意な直線的減少傾向が認められた(p<0.0001)。

3.遺伝子多型と慢性疾患

遺伝子多型が疾患に対するリスクファクター、つまり感受性の遺伝的要因の一つとなる可能性がある事が報告されている。

3-1.慢性閉塞性肺疾患(COPD):Gc globulinのGc1f対立遺伝子の遺伝子型はCOPDの危険因子の1つである可能性が示唆されている。

日本人を対象とした20 pack-years以上の喫煙歴のある健康喫煙者(88名)と、COPD罹患喫煙者(103名)を評価ref.3

COPD罹患喫煙者のGc1f-1f型割合(32%)は、健康喫煙者のGc1f-1f型割合(17%)より有意に高い結果となった。
(p=0.01、OR=2.3、95% CI = 1.2~4.6)
他の対立遺伝子においては、COPD罹患喫煙者と健康喫煙者間で有意な差はなかった。

また、他の論文でも日本人を対象にした結果が報告されている。10 pack-years以上の喫煙歴のあるCOPD罹患喫煙者(63名)と、健常ボランティア(82名、匿名ドナーの為、喫煙歴は不明)を評価ref.10

COPD罹患喫煙者のGc1f-1f型割合(36.5%)は、健常ボランティアのGc1F-1F型割合(20.7%)より有意に高い結果となった(p=0.0351)。
また、ほかのGc対立遺伝子に対するCOPD罹患喫煙者のGc1F-1FのORは2.2(95% CI=1.1~4.6)であった。
Gc1Fを保有している割合も、健常ボランティア群(75.6%)に比べ、COPD罹患喫煙者群(85.7%)は優位に高い結果であった(p=0.0357、OR=1.9、95% CI=1.2~3.2)。

海外でもGc globulinに対する遺伝子多型とCOPDに対する評価がされており、日本人での評価論文含めた、アジア人及び白人の論文、6報の結果を総括したメタ解析が報告されているref.11, 12

アジア人及び白人でのCOPD患者 531例、健常人 1,181例、計 1,712例でのメタ解析。
Gc1S対立遺伝子に対し、Gc1F対立遺伝子のORは1.44(95% CI=1.14~1.83、p=0.002)、Gc2対立遺伝子のORは0.83(95% CI=0.69~0.996、p=0.045)であった。 また、Gc1F-1F型においては、Gc1S-1S型と比べ、ORは2.64(95% CI=1.29~5.39、p=0.008)であった。
研究(論文)間に対する異質性(I2、p>0.05)及びばらつき(τ、p>0.05)、人種間相互作用(z、p>0.05)はともに有意差がなかったことから、Gc1F対立遺伝子は、人種に関わらずCOPDの危険因子である可能性が示唆されている。

3-2.糖尿病(2型)

日本人を対象とした、遺伝子多型と2型糖尿病との関連が報告されている。耐糖能が正常な男性47名及び女性35名の計82名を対象に評価ref.13

Gc1S-2(p<0.01)及びGc1S-1S(p<0.03)において、「空腹時インスリン濃度」がGc1F-1Fに比べ、有意に高い値を示した。また、「HOMA(R)」においても同様の結果を示した。
3つの対立遺伝子を見ても、空腹時インスリン濃度及びHOMA(R)ともに「1S>2>1F」の傾向が見られた。

同じ著者らの別論文では、耐糖能が正常な対象群(209名)と2型糖尿病患者群(208名)の多型を比べた結果、Gc1F-1F型では対象群<患者群(11.06%<19.14%、p<0.01)、Gc1S-2型では対象群<患者群(27.75%<48.08%、p<0.02)であったことを報告しているref.14
このことから、Gc1S対立遺伝子は、2型糖尿病に対する危険因子である可能性が示唆された。

しかし、海外では別の報告が挙がったりしている。
ヒスパニック系及び英国系アメリカ人を対象とした評価ではGc1F-1F型で空腹時の血糖値が他の型に比べ有意に高かった(F値=2.46、p=0.033)ref.15や、フランス及びポーランドの白人を対象にした評価では、多型と2型糖尿病患者における相関性はなかったref.16, 17と報告されている。

これら研究成果に一貫性が見られないのは、COPDと異なり、人種や食生活等の環境因子による影響があると考えれらる。

3-3.乳がん

遺伝子多型と乳がんリスクに対する報告がドイツref.18とカナダref.19から挙がっている。
1)ドイツのハンブルグとライン-ネンカー-カールスルーエ地域で、大規模集団ベースの関連症例対象研究を用い、閉経後乳がんリスクとGc対立遺伝子との関連を検討したref.18

  • 症例:50~74歳 原発性浸潤性または非浸潤性 閉経後乳がん患者 1,402例
  • 対象:閉経後 女性 2,608例

Gc2-2において、最も頻度の高い遺伝子型Gc1s-1sと比べ、有意な逆相関が認められた(OR=0.72、95%信頼区間 0.54-0.96、p=0.04)。
これは、閉経後乳がんリスクにおいて、Gc2対立遺伝子は保因者に対する保護効果がある可能性が示唆された。

2)カナダのオンタリオ州の女性を対象とした乳がんリスクとGc対立遺伝子との関連を検討したref.19

  • 症例:25~74歳女性 2002年~2003年に確認された浸潤性乳がん患者 1,560例(70%の症例が閉経後)
  • 対象:乳がんの歴がない女性 1,633例(66%の症例が閉経後)

a:欠損値があるため、数値が合計と一致しない場合がある
b:症例については診断時の年齢、対象については対象日(2022年11月14日)に合わせて調整した
c:線形用量反応傾向、p<0.05

GC rs7041 TT遺伝子型は、GG遺伝子型に比べ、乳がんリスクが増加する(OR=1.23、95%信頼区間 1.01-1.51、p<0.05)。
rs4588及びGC遺伝子型では有意な関連は観察されなかった。

前述 1)のドイツでの結果では「Gc2-2遺伝子型(rs7041 TT及びrs4588 AA)において乳がんリスクが有意に低下すると報告されている。
結果が一致しないが、ビタミンDが乳がんリスクと逆相関するならば、このGC遺伝子型が25(OH)Dの低下と関連しているためであるとすれば、今後期待できる方向にある。

また、アメリカで実施された、がん予防研究Ⅱ栄養学コホートを対象としたコホート内症例対象研究(症例群:500名、対象群:500名)では、Gc遺伝子型と閉経後の乳がんリスクとの関連性が認められなったと報告しているref.20
2型糖尿病と同様、これら研究成果に一貫性が見られなかった。
乳がんには複合的な病因があり、人種(遺伝子)や食生活等の環境因子による影響があり、それらを考慮する必要があることが明確に示されている。

References
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