i-ボロンNを用いた
ホウ素中性子補捉療法
BNCT
BCNTはがんの放射線治療の一種です。
身体への負担が少なく、難治性のがんにも効果が期待される新しい治療法です。
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- i-ボロンN(BNCT)
BNCTとは
Boron Neutron Capture Therapy
の略称です。
現在、臨床研究に実用化されているのは
2種類のホウ素薬剤。
モリタは、これらをベースとした改良薬剤や新たなホウ素剤の研究・開発を行っています。
4つの特徴
従来の放射線治療との違い
X(γ)線の場合
ガンマ線が通過した細胞すべてが破壊される
BNCTの場合
中性子線が通過しても、ホウ素を取り込んだがん細胞だけが破壊される
治療の流れ
研究開発
がん細胞だけをピンポイントで破壊する最先端の放射線治療
現在BNCTに使用される薬剤は非常に高価で、また治療には大量の薬剤が必要となります。そこでモリタでは、安価かつ大量に薬剤を製造する技術の確立を目指しています。また治療に関わるお医者さま、患者さまの負担を軽減できるような新規薬剤の開発を行ない、BNCTの普及とさらなる技術の向上に貢献する研究を行なっています。
2022年2月25日、「p-ボロノフェニルアラニンを構成成分とするイオン液体」の特許が公開されました。これは2021年10月に公開された特許「イオン液体を用いたBPA製剤およびBPAを構成物質とするイオン液体」の改良版で、BNCT療法に好適な高濃度のp-ボロノフェニルアラニンを含有する液状組成物を提供することを目的としています。
前回の特許では、溶剤に溶け難いp-ボロノフェニルアラニンという材料をイオン液体を用いて溶けやすくするという技術でしたが、今回はp-ボロノフェニルアラニンそのものを直接イオン液体にしてしまうという技術です。
これによりBNCTで用いる薬剤をより溶けやすくすることができ、薬剤溶液を減量することが可能となります。患者さまへの点滴投与量が削減され、点滴でなく注射で投与することもできる可能性があります。
現在、BNCT治療で最も問題とされている長時間に及ぶ点滴の投与時間もこの技術で大幅に削減することが予測でき、患者さまの負担軽減に大きく貢献できます。
また、医療従事者の方々にとっても、薬剤溶液の量が減ることで保管スペースが確保でき治療時間が大幅に削減されるなど、さまざまなメリットがあるものと考えられます。
さらに、p-ボロノフェニルアラニンをイオン液体化することで、将来的には薬剤の経皮吸収も可能になるかもしれません。その場合、現在点滴投与しながら中性子線を照射しているBNCT治療が、点滴を湿布薬のようなものに置き換えられ治療がより画期的に簡素化できる可能性があります。
BNCT治療における患者さまや医療従事者の方々の負担を少しでも和らげるべく、今回の開発にいたりました。森田薬品工業では、今後も引き続きこの研究を続けてまいります。
「p-ボロノフェニルアラニンからなるイオン液体」
特許情報
特願2020-538491「PEG化ホウ素クラスター化合物、およびPEG化ホウ素クラスター化合物を含む抗腫瘍剤、およびPEG化ホウ素クラスターを含む増感剤」
特願2020-067196「イオン液体を用いたBPA製剤およびBPAを構成物質とするイオン液体」
特願特願2020-136911「p-ボロノフェニルアラニンからなるイオン液体」
別途1件、特許出願中
ホウ素とは
ホウ酸、ホウ砂等で地球上に存在し、工業・農業・化粧品の分野で広く利用されております。ただしBNCTに利用できるものは生産されたすべてのホウ素ではなく、放射性同位体(10B)のみが有効です。
nBは、11B(80%)+ 10B(20%)の比率となっており、薬剤には10Bのみが使用されております。
当社のホウ素薬剤は、国内生産(内製or外製)を目指しており、ソリューション型(医師や患者に寄り添った)にて「nBがBNCTに適用できないか?」について研究開発を進めております。L-nBPAやL-10BPA 、およびBPA骨格をベースとした改良薬剤の開発、さらに新規BNCT薬剤の開発にもチャレンジしております。
産学連携
BNCT研究における共同研究先をご紹介します。